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「テレビジョンは状況である」⑥

岩波書店で2013年に出版した『テレビジョンは状況である』の写真史バージョン。
幾枚の貴重な写真が私の手元に残っているが、これもその1枚である。
近代美術の殿堂オルセー美術館で1988年に撮影されたこの写真にはフランス近代美術史に関わる
ある夢のような組み合わせの人々が写っている。ディレクターだった私は前列右から5人目に立っている。
右から4人目はコメンテーターで出演してくれた名優ジャンヌ・モロー。右から3人目はカメラマンの重本正。
ジャンヌ・モローからはその髪型でマッシュルームと呼ばれていた。
この3人の左右を囲んでいるゲスト出演者たちは、まさに印象派を代表する画家ピエール・オーギュスト・ルノワール、ポール・セザンヌ、ポール・ゴーギャンの血を引く曾孫たちである。右から2人目はソフィー・ルノワール。画家ルノワールの曾孫。映画でエリック・ロメール監督の映画などに出演している人気女優である。彼女の伯父が映画監督のジャン・ルノワール、父親が『天才ピカソの秘密』の撮影をつとめたクロード・ルノワールである。右から6人目、私の向かって左に立ち、手を組んでいるのがポール・ゴーギャンの曾孫メット・ゴーギャン。彼女はデンマークのコペンハーゲンで一人息子と住んでいた。さらにメットの左から顔をのぞかせているのがポール・セザンヌの曾孫フィリップ・セザンヌである。パリで画商を務める。この3人の出会いはこれが全く初めてとのこと。その3人が一緒に写る貴重な一枚の写真である。

 

オルセー美術館で

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