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ハロウィーンの美談

「ハロウィーンの物語」が完成しました。笑ってください。    重延 浩

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     『ハロウィーンの美談』

     ある会社の10月31日。ハロウィーンの日の寓話です。

 

会長室に一人の美人女子社員がやってきました。

       美人女子社員

「会長、今度のボーナス、もう少し私の評価を考えて計算してくださいね。
いつも思ったよりずーっと低いンですもん。このままじゃ私、どうしたら楽しく生きていけるのか
わかんなくなっちゃいます」

と美人女子社員は涙をこらえます。

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会長は慌てて答えます。「おいおい、こんなところで涙なんか見せないでくれ。ここはガラス張りでみんなが見ている。誤解されるよ。君の働きぶりはわかっているから・・」
「私、今度のボーナスでどうしても欲しいものあるンです」
「何がほしいんだ」
「えっと、いろいろ。ルブタンのヌードカラーのヒールでしょ。それからアイラブアルマーニパレット。来月8日から発売される限定品よ!16000円もするの。それと、できたらシャネルの時計、ちょっと高いけど」。
「シャネルの時計は贅沢だろ。言っておくけど、今年は会社の経営状態、よくないからね」

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「そんなの信じないわ!政府は、世の中の景気は上がりっぱなし、株価も上がりっぱなしと言っているじゃないですか。会長はちゃんと新聞、読んでるんですか?」

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「経済新聞は毎朝読んでいる。ウォールストリートジャーナルも今なら3ヶ月100円で読める。それにスポーツ新聞。その新聞の占い、よく当たるんだ。その運勢で毎日、会社の経営判断しているんだけど」
「頼りないなあ」
「よく当たるんだ、その占い。ま~お金のことは僕にまかせとけ」
「ホントですか?心配ないですか?」
「じゃあ現状を見ておこう」

会長と女子社員は会社の経営状態を確認しに行きます。

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「おー、みんなよく働いているな~」
「会長。今頃なに言っているんですか?社員は頑張っているのに、会長はなにをしているのですか?精算は遅いし、伝票は交際費ばっかり」
「わかっているよ。銀座の会員制ラウンジの伝票だろう。だけど、あそこが大事な僕の仕事場なんだ。もうけ仕事の情報が飛び交っている。まあ任せておけって。とにかく最近のデータを見てみよう。さーて、ボーナスたくさん払えるかな」。

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「あ、やっぱり、今度のボーナス、アップは無理だ、この現状じゃ」。
「なによ、他人事みたいに。会長、全然責任を感じてないんですね。女子社員は、今はどこでも売り手市場なのよ。私、やっぱり、よその会社に行こうかなー」
「え、そんな。困るよ。じゃあ、君にだけそっとボーナスアップしとくよ。こうやってポンポンとキーを叩いて・・・」

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「あ、いけません。会長!勝手にデータにさわったら!」
「ははは、冗談、冗談」」
「冗談じゃすみませんよ、会長。私、やっぱり、あさって有給休暇もらいます。他社の面接受けてきます!」
「わかった、わかったよ。なんとかするよ」
「ホントに??」

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「君だけなら上げられる」
「駄目です、私だけなんて。みんなのボーナスを上げてくれなきゃ!いいですか。これからどんどん人手不足になりますよ。あとから戻ってきてくれ~って土下座されても無理ですよ」
「そんなこと言われたって。会社にも色々言えない事情というものがあるんだ。」
「でも会長の責任もあるでしょ。たまにはちゃんと働いてください!私だってそろそろ子供がほしいんです。
もっとたくさん収入がなければ困ります」
「え、君、結婚していたの!」
「なに言ってるんですか。古いなあー。今はシングルマザーの時代ですよ!男は懲り懲り」
「それは僕の責任じゃない。でも子供がほしいならなんとかしてあげよう。頑張ってみる!」
「え!?会長、なに考えてるんですか!嫌ですよ。会長の子供なんて・・・」
「君こそ、なに考えているんだ。ボーナス。ボーナスのことだよ!」
「あら、ボーナスのこと!アップしていただけるんですか?でも絶対社員全員のアップですよ!」
「君の熱意に免じてそうしよう。約束する。それに今日はハロウィーンだし、みんなにお菓子買ってくるのを忘れていたからね」。
「まあ優しい会長ね。私、会長、大好き!この会社も大好き!!」

 

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          「で会長、今夜、暇?」  「はい。もちろんです!」

              

              こうして二人は幸せそうに経理を去っていきました。

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「皆さん、ハッピーハロウィーン!」  会長より

©taka  yuuki  arisa

※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは一切関係ありません。