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新しい著書が出版されました

テレビジョンは状況である・表紙2

9月27日に本を出版しました。

「テレビジョンは状況である」~劇的テレビマンユニオン史~

岩波書店からの出版です。執筆には1年ほどかかりましたが、編集者の伊藤耕太郎さんによると、この本を依頼したのは8年前だったそうです。当時、私はテレビマンユニオンの代表取締役会長CEOで、最高責任者でもありましたので、執筆の依頼は嬉しくもあり、困惑することでもありました。テレビマンユニオン史は、一つの視点では書けないということを直感的に感じたからです。責任ある立場で確定的な歴史を書くことはできない―そのため8年の歳月がかかったのです。きのう、出来上がった本を手に取り、序文を読みながら、私がこの本を執筆することができたのは、まさにそこに書いてあるように、「テレビマンユニオンに100人のメンバーがいれば、100のテレビマンユニオン論がある」ことに気がついたからです。ですから劇的なテレビマンユニオン史は私のテレビマンユニオン史にすぎないのです。という出発点に立つのにまず7年かかったということです。

本のエピローグでお約束したように、次回のブログから、私の本の詳細を写真でお見せします。編集者からの「本に写真を」という提案を頑なに断ってしまったことへのお詫びです。はずかしい写真と、面白い写真が混在するブログの映像情報にします。今、その編集で楽しんでおります。

今年8月に出版された角川マガジンズの本「てれびバカ」で「水曜どうでしょう」のディレクター藤村忠寿さんがQ82の「意識しているテレビマンは?」という質問に対して、「テレビマンユニオンの重延会長かな。楽しそうなので」と答えている行を見つけてしまいました。藤村さんにはすっかり見抜かれていますね。

あ、もう一つ、忙しさのあまり、私が演出したテレビ番組を告知するのを忘れていました。9月22日(日)午後9時30分からBS朝日で「藤田嗣治 秋田への夢旅~地を泳ぎ 天を歩く」を放送しました。裏番組は半沢直樹最終回と巨人軍のセリーグ優勝。私の番組はひっそりとした放送番組になりました。私はもう幻の放送番組と勝手に名づけて、DVDを隠してしまいました。それでも珍しく観た方のお言葉が届き始めて、感激しております。あわてて私のもう1本の放送番組のご案内です。忘れないうちに。私が企画・プロデュースした番組「世界人間旅行 あなたに逢いたい 岸惠子編」です。今週9月28日(土)BS朝日午後8時からの放送です。糸井重里さん、雨宮塔子さんと岸惠子さんの、心の奥まで開ききったトーク番組です。パリと横浜で撮影しました。見ると長生きします。

今、ニューヨークヤンキースの史上最高のストッパー、リベラが最後の1球を投げて引退しました。球場がみんな総立ちです。リベラは試合終了後、もう一度マウンドに戻って、土を右の手のひらにしっかりつかみ、球場を去っていきました。42歳。私がテレビマンユニオンの対内代表に就任した年齢です。40歳のイチローがライトの守備位置からじっとそれを眺めていました。2013年9月27日の物語です。

人生は終わりませんが、こうした一瞬一瞬が、ひとつひとつ奇跡の時間なのですね。

では本屋に行って、自分の本を買おうと思います。もし1冊も売れないと恥ずかしいので・・。