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アインシュタインはヴァイオリニスト

このところ1年に1本の演出ペースでディレクターを務めていますが、今年のテーマは「アインシュタイン」。
ユダヤ系ドイツ人として生まれた物理学者であり、天才であるがゆえに、学者としては思いがけない運命に翻弄されます。今回の私の脚本は、その様々な運命から、知られざる日本との交流を描いていく物語です。長崎国際テレビからの依頼で演出をしています。アインシュタインのことをこの際学んでおこうと相対性理論の本を爆買いし、物理学漬けになってしまいました。突然、宇宙旅行に行き、別世界を遊泳しているような思いに浸り、時々人から何を考えているのかと問われる事があったほどです。物理学は人を誘惑する魅力的な世界でした。でもアインシュタインはその物理学を離れても遊べる柔軟な精神を持っている天才です。そのアインシュタインは言います。「もし、私が科学者でなかったら、音楽家になりたかった」。彼は大正11年(1922年)、東京の帝国ホテルでヴァイオリンソナタを演奏しています。ベートーヴェンの「クロイツェルソナタ」という難曲です。ピアノ伴奏は東京音楽学校のデニス・イックルス夫人でした。その音楽は帝国ホテルから夜の日比谷公園に、そして皇居へと流れるという映像で編集しました。番組は10月18日に長崎国際テレビで午後3時から放送され、11月1日(日)午後4時からBS日テレで全国放送される予定です。85分番組です。

 

(『女性改造』1923年1月号より)

( 『女性改造』 1923年1月号より )