column

雪は黒い

<2013年2月28日 記> ■3月3日ひな祭り、東京オペラシティコンサートホールには笑顔が集まった。世界的なヴィオリスト今井信子さんの70歳記念ヴィオラ協奏曲コンサートだった。モーツァルト、バルトーク、武満徹作曲の協奏曲3曲の演奏に、客は胸をときめかし . . .

ホッパーの夜鷹になる

<2012年11月30日 記> ■落葉はパリに似合う。石畳に落ちた葉が歩く人の足にまとわりつく。そんなシャンゼリゼの果てで、ふと見上げるとグラン・パレで開催中の展覧会が宣伝されていた。ほんとうだろうか。私の大好きなエドワード・ホッパーの展覧会だった。幸運な偶然 . . .

沈黙という時の流れ

<2012年8月31日 記> ■2012年のロンドンオリンピック。オリンピックではいつも時間というものを意識させられる。陸上、水泳は0・01秒の争いになる。柔道、レスリング、ボクシングは時間が重要な決定要素になる。最後の1秒までその命運はわからない。サッカー、 . . .

那智滝図に流れる心

<2012年5月31日 記> ■骨董通りの奥にある根津美術館を訪ねる。琳派の尾形光琳の作品が特別展として、展示されていた。根津美術館所蔵の尾形光琳の国宝「燕子花図屏風」がメトロポリタン美術館所蔵の「八橋図屏風」と並んで展示されていた。  ■この根津美術館に熊野 . . .

海の色って何色? 不確実性の時代

<2011年11月30日 記> ■海の色はふしぎな変化をする。その色を「青」と言い切ることはできない。宮城県七ヶ浜のその日の海の色は、明るかった。陽光の反射も含めて、茫洋とした波が緩やかに揺れている。何色とは言い切れない、そのことをあの20世紀を代表するオース . . .

ニューヨークと東京の時差相対性理論・2011

<2011年9月10日 記> ■飛行機に乗る。羽田国際空港からの深夜便は夜12時過ぎに出発するから、すぐ睡魔が襲う。かつては、機内で酒の杯を傾け、食を楽しみ、映画を見て、音楽を楽しんだ。しかし、今はそんな時間が、深夜便のために消えていく。ニューヨークへの真暗な . . .

土曜日はどんな日?

<2012年2月29日 記> ■土曜日の午後はお好きですか、と人に尋ねる。土曜日も私は会社に出社する。2階のフロアーには誰もいない。空気をすこし冷ややかに感じる。適度な寂寥感が襲う。会長室の鍵を開ける。部屋の片隅に、1匹のドーベルマンがいる。実物と同じ大きさの . . .

巻頭

■2012年3月 東日本大震災の被害を受けた宮城県七ヶ浜町、国際村ホールで開いた「こどもコフェスタ in 東北」のステージでのお話です。1年前に被災した子供たち100人を招き、未来へのメッセージを語り合いました。歌手のMetisは七ヶ浜の津波で壊されたピアノを . . .

表参道からのメッセージ

みなさん、しばらくブログを休ませていただきましたが、コロナ時代に、いかがお過ごしでしょうか。 私にとってコロナは第二次世界大戦で食物にも乏しかった少年時代の樺太体験に次いでの、異次元の体験です。この年齢になって、「時代はこう流れるものか」という日々に身をまかせ . . .